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 今年に入って(正確には昨年末から)、私の周囲では色々な新たな展開が始まりました。まず大きかったのは、足かけ12年おりました原宿を離れ、今月中旬に渋谷へ事務所を移転致しました。しかも私の事務所だけではなく、原宿では同じビルに事務所を構えていた、例えば著書『輸入レコード商売往来』でお馴染みの初代パイド・パイパー・ハウス社長でもあった岩永正敏さんの会社や、音楽評論家・編集者として知られる大先輩の前田祥丈さんの会社、サエキけんぞうさんの事務所など、弊社も含めると実に8社21人が同じフロアに移動するという、大がかりな引っ越しでした。

 それぞれの会社は関連するところもありながら、独自に仕事をしているという関係なのですが、元々岩永さんや前田さんの繋がりによって集まってきた仲間達であり、そこに最年少の私の会社も加えて頂けたことは幸運というほかありません。しかも私が会社を立ち上げた1999年、事務所用の物件を探しているときに、運良くこの原宿のビルのことを教えて下さり、岩永さん達との仲立ちをして下さったのが、渋谷にあるHi-Fi Record Storeの店主、大江田信さん(林亭)でした。大江田さんは長きにわたって日本コロムビアでディレクターをされていた方で、私とも会社は違えでもレコード会社のディレクター出身という似た経歴ということもあって、今でも度々相談に乗って頂く間柄なのですが、その繋がりが発展して、今回渋谷への移転にも結びついたということを考えると、不思議な縁と言うほかありません。

 成り立ちの違う会社が集まって、1フロアーを借りて新たな城を築いた訳ですが、偶然が発端ながらこれも必然だと思いますので、新たな気持ちで、新たな仲間達と一緒に頑張っていきたいと思います。

 そしてもう1つ、新たな展開があります。FLY HIGH RECORDS/JET SONGSという2つの新レーベルを立ち上げ、ここからシンガー・ソングライター玉城ちはるさんのアルバム『ここにいること。』を今月23日に第1弾作品としてリリースします。

 このレーベルを一緒に立ち上げたのが、ヴィヴィド・サウンドのディレクター、寺村純君です。寺村君とも不思議な縁で、初めてお会いしたのは1999年9月9日、青山VALというクラブで行われたDJイヴェント「男達の晩夏」でのことでした。このイヴェントは、シンガー・ソングライターの関美彦さんを励ます会みたいなもので、僕のかつてのHPでの日記を探してみたら、こんなテキストが出てきました。

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■99年9月11日 Dreamin'
 7月はノストラダムスの予言がどうした、とかで騒いだ挙げ句、我が日本に天から(というより関空から)舞い降りてきたのはブライアン・ウィルソン。素晴らしい方向に予言は的中しました。そして99年9月9日。9並びの日。この日もコンピュータの障害がどうしたとか何か起こるとか散々言われましたが、やはり僕らにとっては良い方向で的中しました。99年9月9日、場所は青山VAL、関美彦ライヴ。前々からこのコーナーでも告知してきました、関美彦さんの約5ヶ月ぶりのライヴが行われました。

 珍しく結論から書きます。このライヴを見られなかった方々、本当に残念でした。一生後悔するかも知れません。そのぐらい、心に残った素晴らしすぎるライヴでした。このイベント「男達の晩夏」は21時スタートで、DJタイムの間にライヴが挟まれた構成。そしてもちろんメインは、Butter Fieldの関美彦さんによるアコースティック・ライヴでした。会場のVALは南青山・骨董通りに面したビルの地下にある、ちょっとサイバーチックな空間。決して広いスペースではありませんが、ライヴ開始前から既に場内は一杯。もともとこのイベントは関美彦さんに縁のあるスタッフやミュージシャンの方々が集まって、みんなで関さんを盛り上げようと企画したものですが、この日会場に集まってくれたお客さんも何らかの形で関さんに関わっている方も多く、すごくアットホームな雰囲気で第1部のライヴが始まります。少しはにかんだ表情で飄々と語りはじめる関さんの横には、トイ・ピアノを前にした片岡知子さん(インスタント・シトロン)、そしてその横には赤いエレキ・ベースを構えるVAGABONDの橋爪さん。この3人でライヴはスタート。「Smile」など新曲も数曲交え、また前回のライヴでも好評だった「寝台列車」や昔作ったクリスマス・ソングを改作したものなど、どれも嬉しいぐらいにとびっきりの曲でした。途中、L⇔Rの黒沢秀樹君がギターで参加したりと、夢のようなセッションが続き、アンコールに再度「寝台列車」を歌う関さん。関さんって決して飛び抜けて声がいいとか、ギターが超絶的に巧いとかいうのではないのですが、その温かな人柄から紡ぎ出されるメロディと美しいコード進行は、まさに絶妙。男の僕から見ていても、格好良かった。その後はしばしDJタイム。またこの間にみんなと交わす会話の楽しいこと。僕は黒沢秀樹君やヒックスヴィルの木暮さん、emレコードの寺村さん達と、色々音楽情報の交換と雑談に興じているうちに、第2部スタート。いきなりバカラックの「I'll Never Fall In Love Again」に始まり、基本的にカヴァーを演奏というお約束だったみたいですが、途中から会場に遊びに来たゲストを迎えてのライヴ・セッションが突然スタート!port of notesの小島さんが加わって歌ったり、サニーデイ・サービスの曽我部恵一君が関さんと一緒にアコギで、ジョン・セバスチャンの「Magical Connection」をピチカート・ファイヴの日本語ヴァージョンで歌い、さらに木暮晋也さん(ヒックスヴィル)が持ち歌「ラジオ」をアコースティック・ギターを掻き鳴らしながら歌い、またノーナ・リーヴスの西寺郷太君やARCHの中村大君もそれぞれ持ち歌を弾き語り。そして最後に関さんがカーペンターズでおなじみの「We've Only Just Begun」とビーチ・ボーイズの「Don't Worry Baby」を、雰囲気たっぷりに歌い上げ、大興奮の第2部終了。そして第3部は、さらに関さん+片岡知子さんの弾き語り、そして最後に曽我部君がサニーデイの名曲「東京」を歌うという、本当に贅沢な内容でした。それはまるで、ビーチ・ボーイズのアルバム『PARTY』が目の前で再現されているような、そんな雰囲気。

 こんな事って、恐らく大きな会場で前売りチケット何万枚も売って、大きなイベンターやレコード会社や事務所が仕切って実施したのでは絶対に出来ない、あり得ないライヴだったと思います。出演者ももちろん関さんとの友情関係で支えられていて、しかもみんなが心から温かく関さんを応援している。美しいじゃありませんか。そしてそれはあの場にいたファンも同じで、音楽の送り手と受け手が正しい恋愛関係になっている、そんな素晴らしいライヴでした。音楽が好きで、本当に良かった。そしてこの人達と知り合えて、本当に良かった。多分あの場所にいたみんながライヴに感激して、それぞれの想いを胸に抱いて帰宅されたことと思います。素敵な仲間達に、心から感謝。関さん、どうもありがとう!
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 この会場でこの時に初めて知り合ったのが寺村君で、彼は当時ディスクユニオンで働きながら、再発もので知られるem recordsのスタッフもしていました。それ以来、色々な形で交流は続き、12年後に一緒にレーベルを立ち上げることになりました。お互いに歳はとりましたが、音楽に対する考え方や愛情はあの頃と全然変わっておらず、一緒にこれから仕事できることが楽しみでなりません。

 さらに書くならば、第1弾アーティストとなった玉城ちはるさんとの出会いも、不思議な縁を感じさせるものでしたし、例えば今回、玉城さんのアルバム・ジャケットの撮影でお世話になった、荻窪のブック・カフェ「6次元」のオーナー、中村邦夫さんとの出会いも偶然とは言え、必然性を感じる不思議なものでした。

 よく大瀧詠一さんが「縁」について語っておられますが、こうやってこの12年を振り返ってみますと、私はつくづく「縁」や「繋がり」に恵まれていると思います。さらに人が集まり、繋がっていく、そのお手伝いが出来たらこんなに嬉しいことはありません。

 さて最後にお知らせです。第1弾アルバムである玉城ちはるさんの『ここにいること。』の発売日(2/23)に、武蔵小山にあるライブカフェ「Again」で、このアルバム用に撮り下ろした写真を展示させて頂く事になりました。今回の写真は、全て私が撮影いたしましたので、結果的には私にとりましても初めての写真展、ということになります。平日ではございますが、当日はお昼の12時半から夕方5時半頃まで入退場フリーで展示しておりますので、どうぞお出かけ頂けると幸いです。また夜7時オープン、7時半スタートで同会場にて、玉城ちはる『ここにいること。』プレミア・リスニング・パーティーも行います。玉城ちはるさん、今作の制作に携わったサウンド・プロデューサー/ギタリストの菅大祐さんと共に、このアルバムの制作裏話を披露したりレコーディング現場の映像などをご覧頂くイヴェントです。こちらもお時間ありましたら、是非遊びにいらして下さい。お待ちしております!

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■玉城ちはる『ここにいること。』写真展(写真:土橋一夫)
・日時:2011年2月23日(水)12:30~
・会場:Live Cafe Again(東京都品川区小山3-27-3 ペットサウンズ・ビル B1F/TEL:03-5879-2251/http://www.cafe-again.co.jp/)※東急目黒線武蔵小山駅から徒歩1分
・入場無料/入退場自由
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■玉城ちはる『ここにいること。』プレミア・リスニング・パーティー
玉城ちはるのニュー・アルバム『ここにいること。』の発売日に、本人やこのアルバムに関わった人達を交えて『ここにいること。』を一緒に聴く、この日だけの特別なイヴェントです。アルバム制作にまつわるエピソードを披露するトーク・コーナーや、レア映像、レア音源の試聴、そしてミニ・ライヴと、盛りだくさんの内容を予定しております。
・日時:2011年2月23日(水)19:00 OPEN/19:30 START
・会場:Live Cafe Again(東京都品川区小山3-27-3 ペットサウンズ・ビル B1F/TEL:03-5879-2251/http://www.cafe-again.co.jp/)
・出演:玉城ちはる/菅 大祐(『ここにいること。』サウンド・プロデューサー)/土橋一夫(FLY HIGH RECORDS 制作プロデューサー)
・入場料:1,000円(チャージのみ)
・定員:限定40名
・お申し込み方法:
お申し込みはLive Cafe Again(s.ishikawa@cafe-again.co.jp)まで。
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